Codexスキルづくり勉強会
一つの相談が
Codexスキルになるまで
今回は、Codexの「スキル」を作った経緯について概説します。
今回の出発点は、「単体で動くHTML教材を作りたい」という相談でした。最初から私が「スキルを作ろう」と考えていたわけではありません。教材作成についてCodexと長く話している途中で、Codexから「この内容はスキルとしてまとめるのがよい」と提案されました。
今回は、その最初の相談から、長い仕様確認、スキルの完成、そして実際にそのスキルを使ってこの勉強会用HTMLを作るところまでをたどります。
Codexを使える環境がない方も、操作方法を覚える必要はありません。「AIとの対話から、繰り返し使える仕事の手順をどのように作ったか」という事例として聞いてください。
01 会話の始まり
1 最初の依頼はスキル作成ではなかった
最初に私がCodexへ伝えたのは、画面にある内容です。
「すべてを埋め込んで単体で動作できるHTML教材を作りたい。ただし、少しずつ指示をするので、『作成してください』と明確に言うまではHTMLを作らず、仕様の確定を手伝ってほしい」と依頼しました。
ここで言う「単体HTML」は、基本的に一つのHTMLファイルだけで開ける教材です。CSSやJavaScriptも同じファイルに入れ、インターネットにつながっていなくても使えるものを想定しました。
Codexは、この依頼を受けて、すぐにHTMLを書き始めませんでした。教材の目的、対象者、内容、画面構成、操作、採点、デザイン、オフライン要件などを整理し、未確定事項や矛盾を確認すると答えました。
この時点で最初の大切なルールが決まりました。
02 転換点
2 Codexがスキル化を提案した
次に私は、「この内容を、今後HTML教材を作るときの統一方針として使いたい。プロジェクトにするのがよいか」と質問しました。
それに対してCodexが、プロジェクトだけではなく、最終的には専用スキルにするのがよいと提案しました。
この提案を受けるまで、私はスキルを作るつもりではありませんでした。ここは今回の経緯を理解するうえで重要です。
スキルは、複数の教材で繰り返し使う制作ルールや仕事の手順を保存するものです。
チャットでまず統一仕様を十分に固め、内容が成熟してから「単体HTML教材作成スキル」にまとめることになりました。
03 相談した六つの分野
3 長い対話で何を話し合ったか
画面では六つの分野にまとめていますが、実際の会話では一度に全部を決めたわけではありません。私が一つ希望を伝え、Codexが選択肢や注意点を説明し、私が決定する、というやり取りを何度も繰り返しました。
対象と内容
CEFR、再利用可能版、特定学習者向け、教師提供資料。
学びやすさ
多言語、ふりがな、問題形式、学習・テストモード、復習。
教室運用
学習者別保存、教師用画面、名簿、結果、バックアップ。
配布
教師利用版、他教師向け版、宿題版、個人情報の除去。
技術条件
単体HTML、オフライン、Chrome、音声、画面サイズ。
品質確認
内容承認、動作確認、修正、ID維持、旧版の保全。
教材を作るときには、学習内容と目標、対象学習者のCEFRレベル、誰にでも使える再利用可能版か、特定学習者向けかを確認することにしました。原則は再利用可能版ですが、必要なら特定学習者向けの個別版も作れます。
次に、教材材料の扱いです。
教師が提供する文法項目、語彙・漢字リスト、既存問題、授業資料、使いたい例文などを基本資料とします。Codexは、追加問題、発展問題、例文、選択肢、誤答選択肢、ヒント、解説などを補います。教師の資料と矛盾する可能性があれば、Codexが勝手に変更せず、教師へ確認する方針にしました。
多言語表示、ふりがな、問題形式、学習モードとテストモード、★付き復習などを相談しました。
ふりがなは、原則として漢字部分だけに付けます。送り仮名には付けません。漢字の読みを問う問題では、答えが見えないよう、対象部分のふりがなを隠します。
学習者ごとに進捗、得点、解答状況、挑戦回数、★、表示言語、ふりがな設定などを分けて保存します。教師用画面では実名や結果を確認できますが、学習画面と結果画面には名前も匿名IDも表示しません。
教材ごとに学習者名を入力し直さなくてよいよう、共通名簿CSVを作ることも決めました。
配布については、教師本人が使う版、他の教師へ渡す版、学習者へ渡す宿題版を区別しました。
04 CEFRの具体例
4 一つの希望が再利用できるルールになる
ここでは、長い会話の中からCEFRについてのやり取りを具体例として見ます。
私はまず、「HTML教材を作りたいと言ったら、対象学習者のCEFRレベルを質問してほしい」と伝えました。
次に私は、「A2-B1のように複数のレベル、つまり範囲で指定してもよいか」と質問しました。
漢字教材では、教師が指定した学習対象文字を優先します。対象漢字が一般的なCEFRの目安より難しくても、Codexが勝手に簡単な漢字へ置き換えないことにしました。
これが、会話上の希望がスキルの指示へ変わる一例です。
05 認識を合わせる
5 Codexの提案を教師が修正した
AIとの相談では、いつも一度で希望が正確に伝わるとは限りません。今回も、途中で認識がずれた場面がありました。
学習者名を学習画面に表示するか、教師用画面をどうするかという相談で、Codexは、匿名IDを表示することや、教師用画面に暗証番号を付けることまで提案しました。
私の考えていた運用はもっと単純でした。
そこで私は、「少し込み入ってきたので、認識を合わせたい」と伝え、自分の希望をまとめて言い直しました。
Codexは、「前の提案は少し複雑にしすぎた」と認め、希望を整理し直しました。
06 二種類の決定
6 共通ルールと教材ごとの選択を分けた
共通ルール
共通ルールには、明確な承認前にHTMLを実装しないこと、教師が提供した資料を勝手に置き換えないこと、まだ答えがない項目だけを段階的に質問すること、問題内容を教師に確認してから組み込むこと、完成後に動作を検証することなどがあります。
教材ごとの選択
教材ごとに確認するものには、学習テーマ、学習目標、CEFR、再利用可能版か個別版か、表示言語、ふりがな、★、進捗保存、問題形式と数、音声、対象端末などがあります。
問題は原則として10問ずつ確認します。問題文、選択肢、正解、解説、必要なら詳しい解説まで確認します。多言語教材も、先に日本語版を確定してから翻訳します。
一方で、すべての教材にすべての機能を入れるわけではありません。今回の勉強会HTMLは説明文だけなので、問題、採点、学習・テストモード、結果画面、★、進捗保存、名簿、教師用管理機能を追加していません。
このように共通部分と可変部分を分けたことで、細部を固定しすぎず、毎回ゼロから説明する必要もないスキルになりました。
07 完成物の構成
7 実際に完成した四つの中心ファイル
中心となる一つ目のファイルは、SKILL.md です。
詳細が多かったため、すべてをSKILL.mdだけに詰め込まず、三つの参考資料へ分けました。
基本の進め方と必ず守るルール
教材内容と画面に関する詳しい仕様
名簿、保存、バックアップ、配布
実装条件と完成前の動作確認
08 会話から指示へ
8 会話で決めたことがファイルの指示になった
この画面では、会話と完成したスキルの対応を示しています。
| 会話で決めたこと | 完成した指示 |
|---|---|
| 「作成前に仕様を固めたい」という希望 | 「明確な作成承認があるまでHTMLを実装しない」という指示になりました。 |
| 「一度に全部質問されると大変」という考え | 「すでに答えがあることは質問せず、必要なことだけ段階的に確認する」という指示になりました。 |
| 「問題を確認してから使いたい」という希望 | 「問題を原則10問ずつ確認し、日本語版を確定してから翻訳する」という手順になりました。 |
| 「複数の学習者の記録を混ぜたくない」という希望 | 選択された学習者ごとに進捗と設定を分けて保存する仕様になりました。 |
| 「完成後も教材を安全に直したい」という希望 | 旧版を残し、新しい版を別ファイルで作り、教材IDと問題IDを可能な限り維持し、動作を確認してから切り替えるという手順になりました。 |
会話で決めた判断を、次の仕事でも実行できる命令と手順へ変換したのです。
09 完成へ
9 スキルを形にして検証した
仕様が確定したあと、Codexが実際にスキルのファイルを作りました。
10 この教材の制作
10 この勉強会HTML自体が実際の利用例
今回、この勉強会HTMLを作るとき、新しいCodexのタスクで、画面にあるようにスキルを指定しました。
不特定の日本語教師向けに、「単体HTML教材の作成のためのCodexのスキルづくり」を説明する教材を作りたい。問題、採点、進捗保存、名簿は不要。説明文だけで構成する。まだHTMLを作らず、まず仕様を確認してほしい、と伝えました。
するとCodexは、すぐにHTMLを作りませんでした。
まず、誰を対象とするか、読後に何を理解してほしいかを確認しました。
その後、表示言語、ふりがな、画面構成、勉強会の時間、画面共有を前提とすること、後日配布できることなどを決めました。
私が最後に「この仕様で作成してください」と指示して、初めてCodexがHTMLの実装へ進みました。
今回の教材には問題も名簿も不要だったため、それらを付けず、説明用の画面とナビゲーションだけを作りました。
11 まとめ
11 この実例から分かること
今回の流れを短くまとめると、次のようになります。
HTMLを作らず、必要な方針を一つずつ相談した。
Codexが、繰り返し使う内容をスキルにすることを提案した。
CEFR、ふりがな、多言語、進捗、教師用画面などを対話で決めた。
認識が違うときは、教師が希望を言い直した。
決定事項を、中心となるSKILL.mdと三つの参考資料へ整理した。
スキルの構造を検証し、個人用スキルとして使えるようにした。
新しい教材ではスキルを呼び出し、仕様確認後に実装・検証するようになった。
Claude Codeを使っている方への補足です。Claude Codeにも、再利用可能な知識や仕事の手順をSKILL.mdにまとめる、同じ「Skills」という機能があります。今回は説明しませんが、Claude Codeを使っている方も、同様の考え方を応用できます。
公式資料
参考リンク
OpenAI公式「Save workflows as skills」
Anthropic公式「Extend Claude with skills」
教材ID:codex-skill-case-study-details-ja 版:1.0 作成:2026年8月
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